SDGsはパンダが一役買っている!?【アドベンチャーワールド】

アドベンチャーワールドのパンダ
Pandas in Adventure World

最近よく耳にするSDGs。各企業や商店が取り組む導入事例もあちこちで紹介されるようになりました。
テーマパークや動物園、水族館なども例外ではなさそうです。

今回は、SDGsはパンダが一役買っている、アドベンチャーワールドについての情報をご紹介致します。

目次

SDGsはパンダが一役買っている!?【アドベンチャーワールド】

この記事では、上記のようにパンダがSDGsで一役買っている例として、ご紹介しております。

和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールドは、敷地面積はディズニーランドの約1.5倍という、国内テーマパークの中ではかなりの規模になります。(コロナ前の記録では、年間来場者数が約120万人・売上高が約90億円を達成。)

アドベンチャーワールドの目玉は何と言っても、パンダ!現在国内でパンダを観覧できる動物園は上野動物園と2か所だけです。 (神戸市立王子動物園 はタンタンが心臓病と診断され、現在観覧中止。)パンダは絶滅危惧種ですが、飼育も難しい中、アドベンチャーワールドでは、これまで17頭の赤ちゃんが誕生し、世界で最多の実績を残しています。

そんなアドベンチャーワールド の運営会社である株式会社アワーズ 3代目代表取締役社長 山本雅史氏は、2020年に、
SDGs宣言を発表しました。テーマパークの10年先を見据えた生存戦略として、「循環型テーマパーク」を目指すという構想です。

循環型テーマパークを目指したSDGsの取り組みを評価 され、「日本マーケティング大賞地域賞(関西地区)」を受賞されています。

高コストのパンダがどのようにSDGsに貢献したのか?

アドベンチャーワールドでお目当てとなるのは、何と言ってもパンダ!

飼育難易度が高く、1日に平均10~20kgの竹や笹を食べるパンダがどのようにSDGsに貢献したのでしょうか。

そもそもSDGsってなに?
Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標
「2030年までに、世界中の人たちで、世界中にある環境問題・差別・貧困・人権問題といった課題を解決していこう」という計画、目標です。
具体的には
環境問題:地球環境・自然環境に配慮しながら、国や企業が活動できるようにしていく。
差別問題:年齢や性別、障害、人種、民族、出自、宗教、 経済的地位等で差別を
     しない社会を実現していく。
貧困問題:発展途上国への支援等が該当します。
17の目標と169のターゲットから構成されています。
SDGsは、2017年に開催された「ダボス会議」(政治経済のリーダー達が集まる会議)を基に広まりました。

パンダのご馳走と電車が地域を活性化!

山本社長は、SDGs宣言の一環として、パンダバンブープロジェクトを発表し、JR西日本と共同でパンダくろしお サスティナブルSmileトレインの運行を開始しました。

パンダバンブープロジェクト

  • パンダが食べ残した竹の幹を加工して、竹の内部にLEDを埋め込んだ「竹あかり」を 使ったライトアップイベントを開催。(白浜中のホテルに設置

  • 竹を工芸品として加工するワークショップを実施したり、竹でアオリイカの産卵床を作った。

  • アサヒビール株式会社とパナソニック株式会社が共同開発した、パンダバンブータンブラーをリユースカップ(“使い捨て”しない飲料容器)として製造
  • 岸和田市と「岸和田丘陵地区における竹の提供に関する協定書」つまりSDGsパートナー協定を締結

  • 2020年2月より、有限会社 井関産業の協力を得て、竹幹をチップにして堆肥にする試験を開始。

里山を荒廃させる竹を伐採し、ジャイアントパンダの食事として活用することで里山の環境を守りつつ、これまで廃棄していたジャイアントパンダが食べない竹幹や食べ残した竹、糞を有効資源としてアップサイクルを推進するプロジェクトです。

サスティナビリティ方針 02| 株式会社アワーズ (ms-aws.com)


パンダは1日に平均10~20kgの竹や笹を食べるそうですが、太くて硬い幹の部分は残してしまいます。

パンダの食べ残しを産業廃棄物として処理するも、竹という植物は組織が頑強にできているので、ただでさえ燃えにくいはずです。予め細かく切るなどの工程を考えると、時間やコストがかなり負担になっていたことが伺えます。

「竹あかり」をアドベンチャーワールド内に設置するだけでなく、白浜地区全体に呼びかけていること、地元の企業と開発して、残った竹材を製品化していること等から、必ず意識しているのは、自社だけで完結させるのではなく、地域全体として取り組むことであることが考えられます。

SDGsというと、多少ボランティアっぽい様相を呈していますが、負を正に転じる発想でビッグプロジェクトのビジネスにしてしまったというのは驚きです。

パンダくろしお サスティナブルSmileトレインの運行開始

動物が描かれた列車
SDGsをテーマにしたラッピング列車

西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)様と共同で、2020年7月よりSDGsをテーマにしたラッピング列車「パンダくろしお サスティナブルSmileトレイン」の運行を開始しました。ご乗車いただくゲスト、地域の皆様とのパートナーシップを築き、サスティナビリティ(=持続可能性)に取り組むことで、人、動物、自然、すべての生命のSmile(=しあわせ)が溢れる豊かな社会を目指すことをコンセプトにデザインをしています。

サスティナビリティ方針 05| 株式会社アワーズ (ms-aws.com)

パンダくろしお サスティナブルSmileトレインは、新大阪駅~新宮駅(和歌山県)を結ぶ、長距離列車です。
パンダくろしおのラッピング列車は全部で6つのSDGsテーマで描かれてあります。

  1. 特急パンダくろしお1号車:「親から子へ」ジャイアントパンダも人も健康で安心して暮らせる世界を表したデザイン
  2. 特急パンダくろしお2号車:「性別に関係なくそれぞれが輝く社会」ライオンやキリンのオス・メスを描いたデザイン
  3. 特急パンダくろしお3号車:「クリーンなエネルギー」ラマ・レッサーパンダ・ワオキツネザルを描いたデザイン
  4. 特急パンダくろしお4号車:「格差なく、だれ一人取り残さない社会」チーター、コンゴウインコを描いたデザイン
  5. 特急パンダくろしお5号車:「人間と共存」ホッキョクグマ・ケープペンギン・バンドウイルカを描いたデザイン
  6. 特急パンダくろしお6号車:「パンダが生き生きと暮らす社会に貢献」することをイメージしたデザイン


これ程かわいらしく、インパクトの強いデザインで関西を走らせる鉄道に目を付けたのは、ここでもやはり自社の中だけでは完結させない、地域への呼びかけ、関わりを意識した考えが根底にあると言えます。

パンダくろしおは子供たちも喜びそうですね!

まとめ

SDGsはパンダがどのように一役買っているのかについて簡潔にまとめさせていただきました。

  • 2020年テーマパーク生き残りの戦略として、自社を「循環型テーマパーク」と位置づけた、SDGs宣言を発表したのが発端となった。
  • パンダバンブープロジェクト」の一環として、大量に出るパンダの食べ残した竹を、地元異業種の企業と共同開発して有効に製品化した。
    「竹あかり」を白浜中のホテルに設置して、ライトアップした。
  • SDGsのテーマを謳ったデザイン列車 パンダくろしお サスティナブルSmileトレインを、JR西日本と共同で、新大阪~新宮間、運行させた。

いずれも、自社の存続戦略の一環としてのプロジェクトですが、地域社会との関りを重視した、地域活性化というさらに大きなスケールでのプロジェクトが急ピッチで進められたと言えます。

山本社長のSDGsをビジネスに活かすという発想は、今後様々な企業にも影響を与え、広がっていくのではないでしょうか。

2025年の大阪万博に向けて何か仕掛けてきそうでとてもワクワクしますね!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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